売掛金担保融資(ABL)って何?
ファクタリングとABL、何が違うの?
自分の会社にはどちらが向いているか知りたい…

売掛金を活用した資金調達方法として、近年注目されているのが「売掛金担保融資(ABL)」です。
ファクタリングと混同されることも多いですが、両者は仕組み・リスク・財務への影響など、多くの点で大きく異なります。

この記事では、ABLの基本的な仕組みから、ファクタリングとの違い、どちらを選ぶべきかの判断基準まで、わかりやすく解説します。
資金調達の方法を検討している経営者・財務担当者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

売掛金担保融資(ABL)とは?わかりやすく解説

売掛金担保融資(ABL:Asset Based Lending)とは、企業が保有する売掛金や在庫・機械設備などの事業資産を担保として、金融機関から融資を受ける資金調達方法です。

ABLの「A」はAsset(資産)、「B」はBased(基づく)、「L」はLending(融資)の略です。
従来の不動産担保融資では土地・建物を担保にしていましたが、ABLでは売掛金・在庫・機械設備などの「動産」や「債権」を担保にする点が大きな特徴です。

ABLの具体例
A社は毎月1,000万円の売掛金を保有しているが、銀行から不動産担保なしでの融資を断られた。
そこでABLを活用し、売掛金1,000万円を担保として銀行から700万円の融資を受けた。
毎月の売掛金が回収されるたびに融資の返済に充当し、新たな売掛金が発生すると担保が補充される仕組みで資金繰りを安定させた。

ABLで担保にできる資産の種類

ABLで担保として利用できる主な資産は以下の通りです。

  • 売掛金(売掛債権):取引先への請求書・売掛金台帳など
  • 在庫資産:倉庫に保管している商品・原材料など
  • 機械・設備:製造機械・車両・医療機器など
  • 知的財産権:特許権・商標権など(一部金融機関で対応)

ABLでは、売掛金を担保とするのが最も一般的で、「売掛金担保融資」と呼ばれるケースが多いです。
本記事でも、主に売掛金を担保とするABLについて解説していきます。

ABLはどこで利用できる?

ABLは主に以下のような金融機関で提供されています。

  • 都市銀行・地方銀行・信用金庫などの金融機関
  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫など)
  • ノンバンク系のABL専門会社

金融機関によって対応可能な担保の種類・審査基準・融資条件が異なります。
まずは、取引のある銀行に相談するのがおすすめです。

ABLの仕組み・流れ

売掛金担保融資(ABL)の基本的な流れを確認しておきましょう。

ABL利用の基本的な流れ

  1. 金融機関にABLの申し込みを行う
  2. 担保となる売掛金・在庫などの資産を申告する
  3. 金融機関が担保資産を評価・審査する
  4. 担保設定の契約を締結する(債権譲渡登記が必要な場合あり)
  5. 審査通過後、融資実行(担保評価額の50〜80%程度が目安)
  6. 売掛金の回収に伴い、融資を返済する
  7. 新たな売掛金が発生すると担保が補充され、借り入れ枠が維持される

ポイント:ABLはリボルビング型が多い
ABLはリボルビング(回転)型の融資形態を取ることが多く、売掛金の回収と新たな売掛金の発生を繰り返しながら、継続的に資金を調達できる仕組みです。
資金調達を一度限りで終わらせるのではなく、継続的に運転資金を確保したい企業に向いています。

売掛金担保融資(ABL)とファクタリングの違い

ABLとファクタリングは、どちらも売掛金を活用した資金調達方法です。
しかし、その性質・財務への影響・リスク・審査基準などに大きな違いがあります。

売掛金やファクタリングの基本については、以下のページもあわせてご確認ください。

ABLとファクタリングの比較表

まずは、ABLとファクタリングに違いをこちらの表で確認してみましょう。

ABL(売掛金担保融資)ファクタリング
取引の性質融資(借り入れ)売買(融資ではない)
売掛金の扱い担保として提供(所有権は移転しない)ファクタリング会社に売却(所有権が移転)
負債への影響負債が増える(借入金として計上)負債が増えない(オフバランス)
返済義務あり(融資なので必ず返済が必要)なし(売買契約のため返済不要)
審査の基準利用者本人の信用力・財務状況が重視売掛先の信用力が主な審査基準
担保・保証人売掛金等の担保設定が必要不要
金利・手数料金利は低め(年率1〜5%程度)手数料はやや高め(2社間:10〜30%、3社間:1〜10%)
入金スピード数週間〜1ヶ月程度かかることが多い最短即日
売掛先への通知必要な場合あり(債権譲渡登記など)2社間:不要 / 3社間:必要
売掛先倒産リスク利用者が返済義務を負うノンリコース契約なら利用者に返済義務なし
赤字・税金滞納時審査が通りにくい比較的審査が通りやすい

最大の違いは「融資か売買か」

ABLとファクタリングの最大の違いは、「融資(借り入れ)か、売買(売却)か」という取引の性質の違いです。

ABLは売掛金を「担保」として融資を受けるため、借入金として貸借対照表に計上され、必ず返済しなければなりません。
ですが、ファクタリングは売掛金を「売却」するため、借入金が増えず、返済義務も発生しません。

この違いは、財務諸表・銀行格付け・将来の融資審査にも影響します。
財務状況の改善やバランスシートのスリム化を目指す企業にとっては、ファクタリングの方が有利になることが多いです。

ABLのメリット・デメリット

ABLのメリット、デメリットをそれぞれ整理します。

ABLのメリット

まず、ABLのメリットがこちらです。

【ABLのメリット】
不動産担保がなくても融資を受けられる
金利が低めで、長期的に利用するとコストを抑えやすい
リボルビング型で継続的な資金調達が可能
売掛金だけでなく在庫・機械設備も担保にできる
まとまった金額を調達できる(担保評価額次第)

ABLの最大のメリットは、不動産担保がなくても資金調達できる点です。
土地・建物などの不動産を保有していない中小企業や、不動産担保での融資枠がすでに上限に達している企業でも、売掛金や在庫を活用して融資を受けられます。

ABLのデメリット

ABLのデメリットはこちらです。

【ABLのデメリット】
融資なので返済義務がある(借入金として負債が増える)
審査に時間がかかる(数週間〜1ヶ月程度)
利用者本人の財務状況・信用力が審査対象になる
担保設定の手続きが必要(債権譲渡登記など)
売掛金の管理状況を金融機関に定期報告する義務がある
売掛先が倒産した場合も返済義務は消えない

ABLの最大のデメリットは、融資であるがゆえに返済義務が生じる点です。
売掛先が倒産して売掛金を回収できなくなっても、ABLの返済義務はなくなりません。

この点は、ノンリコース契約のファクタリングと大きく異なります。

ファクタリングのメリット・デメリット(ABLとの比較視点で)

ABLとの比較を踏まえて、ファクタリングのメリット、デメリットも整理しておきます。

ファクタリングのメリット

ABLと比較した場合、ファクタリングのメリットとなるのがこちらです。

【ファクタリングのメリット】
負債が増えない(売買契約のためオフバランス)
返済義務がない(融資ではないため)
最短即日で資金調達できる
売掛先の信用力で審査されるため、自社の財務が悪くても利用しやすい
ノンリコース契約なら売掛先倒産リスクをゼロにできる
担保・保証人が不要

ファクタリングのデメリット

ABLと比べた場合に、ファクタリングのデメリットとなるのがこの3つです。

【ファクタリングのデメリット】
ABLと比べると手数料がやや高め(特に2社間)
売掛金の売却なので、受け取れる金額が額面より少なくなる
悪質な業者も存在するため、信頼できる会社選びが重要

ファクタリングの手数料について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

ABLとファクタリング、どちらを選ぶべき?

ABLとファクタリングのどちらを選ぶべきかは、自社の状況・目的・優先事項によって異なります。
以下の判断基準を参考に、自社に合った方法を選んでください。

ABLが向いているケース

ABLは、以下のような状況の企業に向いています。

  • 財務状況が比較的安定しており、銀行の審査が通りやすい
  • 不動産担保がないが、まとまった融資を受けたい
  • 継続的・安定的な運転資金を確保したい(リボルビング型)
  • コスト(金利)をできるだけ抑えたい
  • 売掛金に加え、在庫・機械設備も担保に活用したい

一般的には、ABLの方がコストを抑えられます。
財務状況が安定している場合は、ABLを利用するのがおすすめです。

ただ、審査に時間がかかるので、急ぎでの資金調達が必要な場合には、ファクタリングを検討してみましょう。

ファクタリングが向いているケース

一方、ファクタリングが適しているのは以下のようなケースです。

  • 財務状況が悪く、銀行の審査が通りにくい(赤字・税金滞納など)
  • 今すぐ(最短即日)資金が必要
  • 負債を増やしたくない・バランスシートをスリム化したい
  • 売掛先の倒産リスクをヘッジしたい
  • 担保・保証人を用意できない
  • 取引先に知られずに資金調達したい(2社間ファクタリング)

迷ったらファクタリングから試してみるのがおすすめ
ABLは審査・契約手続きに時間がかかり、利用開始まで数週間〜1ヶ月程度かかることが多いです。
急ぎの資金需要には対応しにくい点がデメリットです。
まずはファクタリングで急場をしのぎながら、並行してABLの審査を進めるという使い方もあります。

取引先に知られずにファクタリングを利用したい方は、以下のページも参考にしてください。

ABL・ファクタリング・その他の資金調達方法を総合比較

ABLとファクタリング以外の資金調達方法も含めて、主な手段を横断的に比較しておきましょう。

ABLファクタリング銀行融資手形割引
性質融資売買融資売却に近い融資
負債への影響増える増えない増える増える
返済義務ありなしありあり(不渡り時)
審査の難易度やや厳しめ比較的通りやすい厳しい普通
入金スピード数週間〜最短即日数週間〜数ヶ月数日〜1週間
担保・保証人担保設定必要不要必要な場合が多い不要
コスト低め(年率1〜5%)やや高め低い(年率1〜3%)低め(年率1〜5%)

各資金調達方法の詳細な比較については、以下のページでも解説しています。

ファクタリングのメリットを活かした賢い資金調達とは

中小企業や個人事業主にとっては、ABLよりもファクタリングの方が有効な場面も多いです。
その主な理由は3つです。

まず、資金調達までの圧倒的な速さです。

ABLや銀行融資は審査・契約手続きに時間がかかりますが、ファクタリングは最短即日での資金調達が可能です。
急に資金が必要になった場合や、資金ショートのリスクがある場合でも、急ぎで資金調達しやすいです。

次に、財務状況に左右されにくい点です。

ABL・銀行融資は利用者本人の財務状況・信用力が大きく審査に影響しますが、ファクタリングは売掛先の信用力が主な審査対象になります。
赤字決算・税金滞納・設立間もないといった状況でも、売掛先が信用力のある企業であれば利用しやすい傾向があります。

そして、3つ目の理由が、負債が増えない点です。

ABL・銀行融資は借入金として貸借対照表に計上されますが、ファクタリングは売買契約のためオフバランスです。
財務改善や将来の融資審査を意識する企業にとっては、この点は非常に大きいです。

ファクタリングがおすすめな3つの理由
最短即日で資金調達できる
財務状況が悪くても審査が通りやすい
負債が増えずバランスシートを悪化させない

ファクタリングのメリット、デメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

売掛金担保融資(ABL)に関するよくある質問

ABLとファクタリングの一番の違いは何ですか?

一番の違いは取引の性質です。ABLは売掛金を「担保」にした融資(借り入れ)のため、返済義務があり負債が増えます。一方で、ファクタリングは売掛金を「売却」する売買契約のため、返済義務がなく負債も増えません。財務状況への影響・リスクの取り方・審査基準など、多くの点で異なります。

ABLの審査はどのくらい時間がかかりますか?

金融機関や担保となる資産の種類・規模によって異なりますが、一般的には数週間〜1ヶ月程度かかることが多いです。担保資産の評価・契約手続き・債権譲渡登記などの手続きが必要なため、急ぎの資金調達には不向きです。急な資金需要にはファクタリングの方が適しています。

赤字決算の企業でもABLは利用できますか?

金融機関によって異なりますが、一般的にABLは利用者本人の財務状況・信用力も審査対象となるため、赤字決算が続いている企業は審査が厳しくなります。一方、ファクタリングは売掛先の信用力が主な審査基準のため、自社が赤字でも売掛先が信用力のある企業であれば利用しやすい傾向があります。

ABLで売掛先に担保設定が知られることはありますか?

金融機関の規定や契約内容によっては、売掛先への通知や承諾が必須となるケースがあります。また、通知が不要な場合でも、債権譲渡登記を行うと登記情報として誰でも確認できる状態になるため、間接的に知られるリスクはゼロではありません。

ABLとファクタリングを同時に使うことはできますか?

法律上は禁止されていませんが、同じ売掛金をABLの担保にしつつファクタリングで売却することは、二重譲渡となるため認められません。それぞれ異なる売掛金を対象とする場合や、時期をずらして利用する場合は問題ないケースもあります。ただし、事前に関係する金融機関・ファクタリング会社に確認することを強く推奨します。

個人事業主・フリーランスでもABLは利用できますか?

個人事業主・フリーランスの場合、ABLに対応している金融機関は限られますが、利用できないわけではありません。ただし、審査や担保設定の手続きが複雑なため、個人事業主・フリーランスには売掛金をファクタリングで早期現金化する方が手軽で利用しやすいケースが多いです。

まとめ

売掛金担保融資(ABL)は、売掛金や在庫・機械設備などを担保として金融機関から融資を受ける資金調達方法です。
不動産担保がなくても融資を受けられる点・継続的な運転資金を確保できる点がメリットですが、融資であるため返済義務があり、負債が増えるという点はファクタリングと大きく異なります。

当記事のまとめ
  • ABLとは売掛金・在庫・機械設備などを担保にした融資
  • ファクタリングとの最大の違いは「融資か売買か」
  • ABLは返済義務あり・負債が増える、ファクタリングは返済不要・負債が増えない
  • コスト面ではABLが有利、スピード・審査通過率・リスクヘッジはファクタリングが有利
  • 財務状況が悪い・急ぎの資金需要にはファクタリングが向いている
  • 不動産担保なしで継続的に資金調達したい場合はABLが向いている
  • 迷った場合はまずファクタリングで急場をしのぎ、並行してABLの審査を進める方法もある

急ぎの資金調達が必要な方、財務状況に不安がある方には、まずファクタリングの利用をおすすめします。
最短即日で資金調達が可能で、担保・保証人も不要です。
手数料の安いファクタリング会社については、以下のページで詳しく比較・紹介しています。

まずはファクタリングで資金調達を検討してみましょう!

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