受取手形とは?売掛金との違い・手形割引とファクタリングどちらがいい?

受取手形って売掛金と何が違うの?
手形割引とファクタリング、資金調達するならどっち?
受取手形を早めに現金化したいけど、どうすればいい?
取引先から約束手形を受け取ったものの、「売掛金との違いがよくわからない」「手形割引とファクタリングのどちらを使えばいいか迷っている」という方もいるはずです。
この記事では、受取手形の基本的な意味から、売掛金との違い、手形割引とファクタリングの比較まで、わかりやすく解説します。
資金調達の手段選びに迷っている経営者・経理担当者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 受取手形の意味を正確に理解したい
- 売掛金と受取手形の違いがわからない
- 手形割引の仕組みやリスクを知りたい
- 手形割引とファクタリング、どちらが有利か比較したい
- 受取手形・売掛金を使った早期資金調達の方法を探している
受取手形とは?わかりやすく解説
受取手形(うけとりてがた)とは、取引先(振出人)が振り出した「約束手形」を受け取ることで発生する、代金を受け取る権利(債権)のことです。
約束手形とは、「〇年〇月〇日(満期日)に、〇〇円を支払います」という支払いの約束を記載した有価証券です。
企業間取引において、代金の支払いを将来の一定日に行うことを約束するために発行されます。
受取手形の具体例
A社がB社に500万円分の商品を納品した。
B社は「3ヶ月後の月末に500万円を支払う」という約束手形を振り出し、A社に渡した。
→ A社には「受取手形500万円(3ヶ月後に受け取れる権利)」が発生する。
3ヶ月後の満期日を迎えると、A社の銀行口座に500万円が入金される。
受取手形は「流動資産」に計上される
会計上、受取手形は貸借対照表の「流動資産」に計上されます。
売掛金と同じく、1年以内に現金化される資産として分類されます。
ただし、貸借対照表上では売掛金と受取手形は別々に記載するのが原則です。
どちらも「お金をもらう権利」ではありますが、その性質が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
受取手形と売掛金の違いを徹底比較
受取手形と売掛金は、どちらも「取引先からお金を受け取る権利(債権)」という点では共通しています。
しかし、その性質・証拠書類・早期現金化の方法などには大きな違いがあります。
売掛金については、以下のページで詳しく解説しています。
受取手形と売掛金の違い比較表
両者の違いを表にまとめたので、チェックしてみましょう。
| 受取手形 | 売掛金 | |
|---|---|---|
| 証拠書類 | 約束手形(有価証券) | 請求書・契約書 |
| 法的拘束力 | 強い(手形法に基づく) | やや弱め(民法上の債権) |
| 支払期日 | 手形に記載された満期日 | 請求書・契約書に記載の期日 |
| 貸借対照表上の分類 | 流動資産 | 流動資産 |
| 早期現金化の方法 | 手形割引・手形の裏書譲渡 | ファクタリング・ABL(売掛金担保融資) |
| 不払いリスク | 手形の不渡り(6ヶ月以内に2回の不渡りで銀行取引停止) | 取引先の支払い遅延・倒産 |
| 近年の利用状況 | 減少傾向(電子化・廃止の流れ) | 増加傾向 |
受取手形は近年急速に減少している
経済産業省・金融庁・公正取引委員会は、下請け取引における手形払いの廃止を推進しています。
政府は2026年中の約束手形利用廃止を目標に掲げており、現在まさに電子記録債権(でんさい)や売掛金による取引への移行が急速に進められています。
手形を受け取っている企業は、将来的な支払い方法の変更についても取引先と協議しておくことが重要です。
受取手形の仕訳・会計処理の基本
受取手形が発生した場合の、基本的な仕訳を確認しておきましょう。
①受取手形が発生したとき
取引先から約束手形を受け取った時点で、受取手形を計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 5,000,000円 | 売上 | 5,000,000円 |
②満期日に入金されたとき
手形の満期日を迎え、銀行口座に入金された時点で受取手形を消去します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 5,000,000円 | 受取手形 | 5,000,000円 |
③手形割引を利用したとき
満期前に手形割引を利用した場合、割引料(手数料)を差し引いた金額が入金されます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 4,850,000円 | 受取手形 | 5,000,000円 |
| 手形売却損 | 150,000円 |
手形割引時の割引料は「手形売却損」として計上するのが一般的です。
「支払手数料」や「雑損失」で処理されることもありますが、取引の実態を正確に反映するためには「手形売却損」を使うことが推奨されています。
④手形が不渡りになったとき
取引先が手形の支払いを行えず、不渡りになった場合は「不渡手形」として処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 不渡手形 | 5,000,000円 | 受取手形 | 5,000,000円 |
その後、回収不能と判断された場合は「貸倒損失」として処理します。
なお、手形割引後に不渡りが発生した場合は、割引を行った銀行や業者に買い戻し義務(遡求義務)が生じます。
受取手形を早期現金化する方法①:手形割引
受取手形を満期日よりも前に現金化する代表的な方法が「手形割引(てがたわりびき)」です。
手形割引とは、満期日前の受取手形を銀行などに譲渡(割引)し、割引料(手数料)を差し引いた金額を受け取る方法です。
手形の額面金額から割引料を差し引いた金額を現金として受け取れるため、資金繰りの改善に活用されてきました。
手形割引の仕組み
手形割引の流れ(例)
- 額面500万円、満期日まで残り3ヶ月の受取手形を保有
- 銀行に手形割引を依頼(割引率:年率3%)
- 割引料:500万円 × 3% × 3ヶ月/12ヶ月 = 37,500円
- 受取金額:500万円 − 37,500円 = 4,962,500円
手形割引のメリット・デメリット
手形割引には以下のようなメリット・デメリットがあります。
【手形割引のメリット】
満期日を待たずに現金化できる
割引率(手数料率)が比較的低め
取引先への通知が不要
【手形割引のデメリット・リスク】
遡求義務(買い戻しリスク)がある:取引先が不渡りを出した場合、割引した手形を買い戻す義務が発生する
銀行の審査が必要:利用者本人の信用力・財務状況も審査される
手形自体の発行が減少しており、将来的に利用できなくなる可能性がある
手形割引の最大のリスクは「遡求義務」です。
取引先(振出人)が不渡りを出した場合、割引を利用した自社が銀行に対して手形代金を買い戻さなければなりません。
つまり、取引先の倒産リスクを完全には排除できない点が手形割引の大きな弱点です。
受取手形・売掛金を早期現金化する方法②:ファクタリング
受取手形や売掛金を早期に現金化するもう一つの方法が「ファクタリング」です。
ファクタリングとは、保有している売掛金(または受取手形)をファクタリング会社に売却し、支払期日よりも前に現金を受け取る資金調達方法です。
融資(借り入れ)ではなく売買契約であるため、負債が増えないという大きな特徴があります。
ファクタリングの基本的な仕組みについては、以下のページで詳しく解説しています。
ファクタリングのメリット・デメリット
ファクタリングのメリット・デメリットもチェックしておきましょう。
【ファクタリングのメリット】
融資ではないため、負債が増えない
原則ノンリコース(償還請求権なし)契約で、売掛先が倒産しても買い戻し義務がない
担保・保証人が不要
赤字決算・税金滞納があっても利用できる場合がある
最短即日での資金調達が可能
2社間ファクタリングなら取引先に知られずに利用できる
【ファクタリングのデメリット】
手形割引と比べると手数料がやや高め(2社間は特に)
売掛金・受取手形の額面より受け取れる金額が少なくなる
悪質な業者も存在するため、信頼できる会社選びが重要
ファクタリングのメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
手形割引とファクタリング、どちらを選ぶべき?徹底比較
受取手形・売掛金の早期現金化において、「手形割引とファクタリングのどちらを選ぶべきか」は多くの方が悩むポイントです。
両者を主要な観点から比較してみましょう。
| 手形割引 | ファクタリング | |
|---|---|---|
| 対象となる債権 | 受取手形 | 売掛金 |
| 取引の性質 | 手形の売却(融資に近い扱い) | 売掛金の売却(融資ではない) |
| 負債への影響 | オフバランス可能だが注記が必要 | 完全にオフバランス(負債が増えない) |
| 手数料・コスト | 低め(年率1〜5%程度) | やや高め(2社間:10〜30%、3社間:1〜10%) |
| 遡求義務(買い戻しリスク) | あり(不渡り時に買い戻し義務) | なし(ノンリコース契約の場合) |
| 審査の基準 | 利用者本人の信用力も審査 | 売掛先の信用力が主な審査基準 |
| 入金スピード | 数日〜1週間程度 | 最短即日も可 |
| 取引先への通知 | 不要 | 2社間:不要 / 3社間:必要 |
| 財務状況が悪い場合 | 審査が通りにくい | 比較的審査が通りやすい |
手形割引が向いているケース
手形割引は、以下のような状況に向いています。
手形割引は手数料(割引料)の安さが最大のメリットです。
財務状況が安定していて銀行の審査が通りやすく、かつ取引先の倒産リスクが低い場合は、手形割引の方がコストを抑えられます。
手形割引が向いている方
- 受取手形を保有しており、コストを最小限にしたい
- 財務状況が安定しており、銀行の審査が通りやすい
- 取引先(振出人)の信用力が高く、不渡りリスクが低い
- すでに取引銀行との良好な関係がある
ファクタリングが向いているケース
ファクタリングは、以下のような状況での利用におすすめです。
取引先の倒産リスクを完全に排除したい場合や、自社の財務状況が悪く銀行審査が通りにくい場合は、ファクタリングの方が適しています。
また、売掛金(請求書ベース)しか保有していない場合は、そもそも手形割引が使えないため、ファクタリング一択となります。
ファクタリングが向いている方
- 売掛金(請求書)を早期に現金化したい
- 取引先の倒産リスクをヘッジしたい(ノンリコース契約)
- 財務状況が悪く、銀行の審査が通りにくい
- 赤字決算・税金滞納がある
- 今すぐ(最短即日)資金が必要
- 取引先に知られずに資金調達したい
取引先に知られずにファクタリングを利用する方法については、以下のページで詳しく解説しています。
手数料で比較:手形割引 vs ファクタリング
手形割引とファクタリングを選ぶ際に、最も気になるのが手数料(コスト)です。
手形割引の割引料は、一般的に年率1〜5%程度が相場です。
残存期間(満期日までの日数)に応じて計算されるため、満期日が近いほどコストは低くなります。
それに対し、ファクタリングの手数料は、2社間で10〜30%程度、3社間で1〜10%程度が相場です。
そのため、ファクタリングの方が、実際に受け取れる金額は少なくなります。
注意:コストだけで比較しないことが重要
手形割引はコストが低い一方、不渡り発生時の買い戻しリスクがあります。
ファクタリング(ノンリコース契約)はコストがやや高めでも、売掛先の倒産リスクを完全に排除できます。
単純な手数料だけでなく、リスクとのバランスを考えて選択することが重要です。
手数料を抑えたいなら、3社間ファクタリングや手数料の低いファクタリング会社を選ぶのがおすすめです。
手数料の安いファクタリング会社については、以下のページで比較・紹介しています。
売掛金・受取手形の早期現金化ならファクタリングがおすすめな理由
手形割引とファクタリングを比較してきましたが、現在の企業環境においてはファクタリングの方が有利な場面が増えています。
その最大の理由は、手形払いが急速に減少している点です。
経済産業省の推進もあり、2026年をめどに下請け取引での手形払い廃止が求められています。
今後は売掛金(請求書)での取引が中心となっていくため、ファクタリングを活用できる企業の方が資金調達の選択肢が広がります。
また、ファクタリングは以下の点でも優れています。
ファクタリングが選ばれる3つの理由
売掛先の倒産リスクをゼロにできる(ノンリコース契約)
財務状況が悪くても利用できる(売掛先の信用力で審査)
最短即日で資金調達できる(急な資金ニーズに対応)
売掛金を現金化するファクタリングの活用方法については、以下のページもあわせてご覧ください。
受取手形・手形割引に関するよくある質問
受取手形は約束手形という有価証券に基づく債権であるため、請求書ベースの売掛金よりも法的拘束力が強いとされています。手形の不渡りは振出人にとって重大な信用問題となり(2回で銀行取引停止)、支払いへの強制力が高い点が特徴です。ただし、近年は手形の発行自体が減少しており、どちらが優れているとは一概には言えません。
一般的には手形割引の方が割引料(手数料)は低い傾向にあります。手形割引の割引料は年率1〜5%程度が相場です。一方、ファクタリングは2社間で10〜30%、3社間で1〜10%程度が相場です。3社間ファクタリングであれば2社間よりもコストを抑えられますが、それでも基本的には手形割引のほうが安く済むケースがほとんどです。ただし、手形割引には不渡り時の買い戻しリスクがある点も考慮して比較することが重要です。
取引先(振出人)が不渡りを出した場合、手形割引を行った自社が銀行や割引業者に対して手形代金を買い戻す義務(遡求義務)が発生します。これが手形割引の最大のリスクです。一方、ファクタリングのノンリコース契約であれば、売掛先が倒産しても利用者への請求は発生しません。倒産リスクをヘッジしたい場合はファクタリングの方が適しています。
受取手形はファクタリングの対象外です。受取手形を現金化する場合は、銀行や、貸金業登録を受けている正規の手形割引業者に依頼する必要があります。
手形払いが廃止された場合、売掛金(請求書払い)または電子記録債権(でんさい)での取引が中心になります。売掛金に切り替わった場合は、ファクタリングを活用することで、これまで手形割引で行っていた早期現金化を継続できます。取引先との支払い条件の見直しについては、早めに協議しておくことをおすすめします。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社間で完結するため、取引先に知られずに利用できます。手数料は10〜30%とやや高めです。3社間ファクタリングは取引先の同意が必要ですが、手数料が1〜10%と低く抑えられます。取引先への通知を避けたい場合は2社間、コストを抑えたい場合は3社間を選ぶのが基本です。
まとめ
受取手形とは、取引先が振り出した約束手形を受け取ることで発生する、満期日に代金を受け取れる権利(債権)です。
売掛金と同じく流動資産に分類されますが、証拠書類・法的拘束力・早期現金化の方法などに違いがあります。
早期現金化の方法として、受取手形には「手形割引」、売掛金には「ファクタリング」がそれぞれ主な手段です。
コスト面では手形割引が有利なケースもありますが、買い戻しリスクがある点や手形払い自体が減少している点を踏まえると、今後はファクタリングを中心とした資金調達の仕組みを整えておくことが重要です。
- 受取手形とは約束手形(有価証券)に基づく代金回収の権利
- 売掛金との違いは証拠書類・法的拘束力・早期現金化の方法
- 受取手形の早期現金化は手形割引が主な手段
- 手形割引には不渡り時の買い戻しリスク(遡求義務)がある
- ファクタリングは負債が増えない・倒産リスクをゼロにできる・即日対応可能
- コスト重視なら手形割引、リスクヘッジ・スピード重視ならファクタリング
- 手形払いは廃止傾向にあり、今後はファクタリング活用が主流になる見込み
売掛金を早期に現金化したい方は、まずはファクタリングの利用を検討してみてください。
担保・保証人不要で最短即日での資金調達が可能です。
手数料の安いファクタリング会社については、以下のページで詳しく比較・紹介しています。
売掛金の早期現金化には、ファクタリングが最もスピーディーで柔軟な選択肢です。
最短即日で資金調達が可能で、売掛先の倒産リスクもカバーできます。
まずは手数料の安いファクタリング会社をチェックしてみましょう。




























